米中貿易戦争は
日本への悪影響は小

 まず、中国に進出している日本企業の中国拠点は、中国の企業であって、日本企業ではない。したがって、在中国の日系企業の業況が悪化しても、失業するのは中国人であって日本人ではない。

 日本企業は、子会社からの配当が減って収益が悪化するが、それが直ちに日本の景気に影響するものではない。これまで日本企業は、海外ビジネスで巨額の利益を稼ぎながらもそれを内部留保してきた。そのため景気拡大に貢献してこなかったのだから、その流れが逆転しても景気への影響はわずかだ。

 マスコミは「困ったことだ」と大きく報道するかもしれないし、中国進出企業に投資している人にとっては深刻な問題かもしれないが、中国進出企業やその下請け部品メーカーの社員のボーナスが減ることを除いては、大きな影響はないと考えていいだろう。

 次に、日本から中国への輸出の少なからぬ部分は、中国から対米輸出される製品の部品である。これは中国の景気が悪化しても影響されない。したがって、中国の景気悪化が日本の対中輸出に与える影響は、懸念されるほどは大きくない。

 今回は、米国の関税によって中国から米国への輸出が減ると思われるが、その分は他の途上国から米国への輸出が増えるだろうから、その途上国に日本製の部品が輸出されることになるだろう。

 一方で、日本にとってのメリットも見込まれる。中国の対米輸入、米国の対中輸入の一部が、日本からの輸出に振り替わる可能性があるからだ。すでに、中国での生産を国内生産に切り替え始めている企業もあるようだ。中国の人件費高騰で、中国での生産の魅力が減少しているタイミングだから、こうした動きは結構広がるかもしれない。

 加えて中国経済の減速は、国際的な資源の需給を緩和して資源価格を下落させることになり、資源輸入国である日本のメリットになる。物価が上がらなくなって、日銀だけは悲しむかもしれないが。