「手取り年収」は、
どこを見ても書いていない
ファイナンシャルプランナーは、個人のお金の相談に乗ることを生業とするため、幅広く「いろんなこと」を知っておく必要がある。そのためFPの資格試験は、幅広い分野から出題される。
とはいっても、試験に合格したあと仕事としてFPとしてやっていくためには、得意とする分野の専門性を高めていく必要もある。私の場合は、マイホーム取得時の住宅ローンの相談、退職後の生活設計の相談などが多数を占める。どちらも好きな分野だし、特化した分野で相談を受けることを積み重ねていくと、経験値が高まっていくことがうれしい。
得意分野、専門分野とカテゴリーしにくいのだが、「手取り」の計算をするのも大好きだ。表面的な収入ではなく「手取り」で見ると、どうなんだろうと考えるのが楽しい。
今から16年前の2003年に、給与の手取りが大幅に減る社会保険の改正が実施された。当時、改正前の2002年と改正後の2003年の手取り比較をしたことをきっかけに、以来毎年1月に「今年の給与の手取り年収」を試算するとこを恒例行事としている。今年も試算したので、読者のみなさんにお届けしよう。
そもそも給与の「手取り」とは何か。手取り年収は「可処分所得」ともいい、額面年収から、税金(所得税・住民税)と社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・40歳以上は介護保険料・雇用保険料)を差し引いたもの。「実際に使えるお金」のことだ。
よく「手取り年収はどこに書いてあるのですか?」と質問を受けるが、どこにも書いていない。自分で計算しないとわからないのである。