この報道は、正月に安倍首相がクイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見たことと意図的に結び付けているように思える。

 ただし、少し冷静に考えると、サンゴは移植できるのだから、サンゴ環境を守るということと、辺野古移設に反対することとは直接の関係はない。

 技術的なことを言えば、正確にはすべてのサンゴを移植することはできず、移植できるのは大きいサンゴだけになるが、それでも、サンゴ環境保護と辺野古移設は両立させられるものだ。

 さらに言えば、サンゴ移植の許可を拒んでいるのは沖縄県である。県は埋め立て工事の差し止めを主張している。県の理屈は、工事が行われない以上、移植のためのサンゴ採取許可もあり得ないということなのだが、これは形式的な論理だ。

 サンゴ環境を保護したいというなら、県が早くサンゴ移植の許可を出せばいいのだ。

極東の軍事バランス考えれば
沖縄に米軍基地が必要

 サンゴ環境保護と辺野古移設は両立するし、辺野古移設は極東アジアの平和バランスのために必要だと筆者は考えている。

 市街地に近く、世界で最も危険だといわれる普天間飛行場の抱えるリスクを除去すると同時に、極東アジアの軍事バランスを維持することを考えれば、沖縄県内で在日米軍基地を持つことに、筆者は賛成である。

 そもそも日米同盟に基づく集団的自衛権の確保は、日本を平和にする確率の高い政策だということは、2015年9月24日の本コラム「集団的自衛権の行使容認が日本を平和にする根拠」でも明らかにしているところだ。

 その意味で、普天間からの移転先として、辺野古以外の選択肢があるなら、教えてもらいたい。

 民主党政権の時、「最低でも県外」と当時の鳩山首相が発言してできなかったことを、玉城デニー知事はよく知っているはずだろう。

 極東アジアの軍事バランスを考える時のその相手国は中国である。中国は、南沙諸島で大規模の埋め立てにより軍事拠点を構築している。

 この工事により海域のサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物など自然環境は決定的に破壊されたといわれる。

 軍事バランスが崩れ、その中国が仮にも、沖縄を侵略したり攻撃したりするようなことが起きれば、比較にならないくらいひどい破壊が起こるだろう。

 破壊を止めるためにも、辺野古移設が必要だ。

 それなのに、中国よりはるかに環境を重視している日本に、環境保護を掲げて基地移設に足かせをかけようとしている辺野古反対派は、ただ中国を利しているだけに思えて仕方ない。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)