日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏が東京地裁に出廷し、久方ぶりに公の場に姿を現した1月8日までに、ゴーン氏に近い日産の外国人幹部2人がひっそりと離職した。
職を解かれたのは、中国を統括するホセ・ムニョスCPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)と人事担当のアルン・バジャージュ専務執行役員。特にムニョス氏は、副社長よりも肩書が格上の「C(チーフ)」が付く上級幹部6人のメンバーでもあったが、「前職の北米事業の収支悪化をめぐり、西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)と対立していた」(日産幹部)という。
司法闘争の長期化、取締役人事や出資比率をめぐる仏ルノーとの膠着状態が避けられない中、西川社長がポスト・ゴーンの体制構築に向けて動き始めたともいえる。
日産では、ゴーン氏や西川社長を含む執行役員53人のうち、その半分に相当する26人が外国人幹部で占められ、特にルノーの出身者・出向者6人が中核ポストを押さえてきた。
体制刷新に臨む西川社長の思惑は二つあるはずだ。能力のないゴーン氏の取り巻きを排除することと、ルノーから重要ポストを取り戻すことである。とりわけ、「商品企画部門と購買部門は、上級幹部だけではなく部長クラスまでルノーに牛耳られているといっても過言ではない」(日産OB)。