先ほどの例でいえば、報告書は、「営業からの情報を事業本部が吸い上げるのは、今後のやるべきことを明確にするための情報収集」であり、その意味合いを理解したとき必要な仕事であるとわかるだろう。すると、自分たちも当事者であるという意識が生まれ、「もっと貢献するために、収集した情報をどう活用しているか、フィードバックしてほしい」などさらなる提案を会社にすることもできるようになるかもしれない。

 では、「全体を俯瞰する」にはどうしたらよいのか。これは実に簡単で、会社員であれば自分の上司、部長、社長と職位を下から上にあげながら、その人たちの立場に立ってみること。そして彼らが仕事や業務に対して「何をどう感じているのか」を想像してみるのだ。

 そこで、『全体俯瞰のための「視座の転換」ワーク』を紹介したい。まず、2メートル四方の正方形を「横軸」と「縦軸」を交差させて十字に区切る。もちろん、実際に床に線を引くのは難しいので、イメージでもかまわない。次に、A4用紙を数枚とペンを用意し、横軸の一番右端には「お客様」、その左隣に「商品」、その左隣に「自分」、その左隣から「部長」、「上長」、「社長」とペンで書き、その紙を先ほどの軸に沿って並べていく。縦軸の一番上の視座には「全体俯瞰」と書いた紙、一番下の視座には「無関係な第三者」と書いた紙をそれぞれ置いて準備が整った状態だ。

 それができたら、一つひとつの用紙のそばに立って、その視座を体感していく。本人になりきって、普段どんなことを感じているのか、具体的にありありと想像してみるのだ。上司など身近な人の場合は、立ち居振る舞い、話し方、癖なども真似してみてほしい。そして、それぞれの視座を味わって感じたことをメモしていくのがよいだろう。全体俯瞰の視座、無関係な第三者の視座を味わい、視座と視座の間を行ったり来たりすると、全体の状況がみえてくるようになるはずだ。

 一通りそれぞれの視座を体感できたら、最後にもう一度自分の視座に戻り、あらためて自分の「仕事」にどういう意味合いがあるのかを考え、そこで気づいたり感じたりしたことをふり返ってみてほしい。そうすることで新しいアイデアが出るなど、このワークをやる前とはまったく違った意味合いを発見できることだろう。