「価値ある中古マンション」を
手に入れるための必須知識とは?

 私は2001年に実施された、第1回マンション管理士試験に合格して以来、早いもので約15年ものあいだ、1000棟にもおよぶ様々なマンション管理に携わってきた、マンションや管理のプロです。

 マンション管理士とは、2000年12月1日マンション管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)の成案に基づいて新たに創設された国家資格です。マンションに関連する法律や専門知識をもって分譲マンションの管理組合や区分所有者からの相談に応じ、管理組合の運営や管理について適正なアドバイスや指導を行う専門家のことです。

 かっこよく言うなら「マンションドクター」という呼び方をされることもあります。マンションに関わる総合内科のようなイメージをしていただくとわかりやすいでしょう。

 独立するまでには、分譲マンションの管理会社の社員として、常時15管理組合以上のマンションのフロント担当者や研修担当などの職を歴任してきました。

 また、私自身も幼少から親が購入した新築分譲マンションに住み、その間いくつかの分譲マンションを渡り住み、現在も分譲マンション住まいと、すでにマンション住民歴は30年以上になります。

 専門家、管理会社、住民という相反する3つの顔や立場を経験してきた人間は、マンションの業界においてもそう多くはありません。

 マンションの専門家の立場だからこそ見えたもの、分譲マンション管理会社の従業員だからこそ見えてしまったもの、そしてマンション住民だからこそ感じたことがあります。本連載では、それら3つの立場から得た知識や経験、ノウハウをもとに書いていきます。

 みなさんが価値ある中古マンションを手に入れることができるように、ダマされないために必要な知識と情報をお届けいたします。物件を下見に行かれる前に、ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

日下部 理絵(くさかべ・りえ)

大学在学中の2001年に実施された第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。大学卒業後、マンション管理会社勤務を経て、マンションの総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」を設立。女性ならではの視点で、マンション管理組合の相談や顧問業務にあたる。また、数多くの調査を通じて、中古マンションの実態に精通する。
これまでに「東京都マンション管理アドバイザー」「東京都立城南職業能力開発センターマンション維持管理科 専任講師」「一般社団法人マンション管理員検定協会 理事長」「一般社団法人マンション建替支援機構 副理事長」などを歴任。
マンションやマンション管理に関して、セミナー講師やコーディネーター、テレビ・ラジオ番組などにも出演多数。また、マンション好きが高じて、個人投資家としても区分所有物件を都心部中心に複数保有している。
主な著書に、『マンション理事になったらまず読む本』(実業之日本社)、『マンション管理組合・管理会社 これからのマンション管理ガイド』(ぱる出版)、『マンションの設備・管理が一番わかる』(技術評論社)、『目指せ! マンション管理員』(住宅新報社)などがある。