職員処分よりも
大切なことは何か

 厚生労働省職員の過長労働と人員不足が、この問題を発生させたという見解も報じられている。人員不足で調査ができないのであれば、500人以上規模の事業所についても抽出調査にすると制度変更をしてから、それを実施すればよいだけのことだ。それをやらないで、2004年以降、全数調査すべきところを抽出調査してしまうとは、前例踏襲のお役所仕事の典型的なトンデモ事例だと言われても抗弁できまい。

 担当者や担当部署には、全数調査などやっていられるかという、かなりの程度のフラストレーションがたまっていたのだろうか。もしくは、抽出調査にすべきであるという相当な覚悟があったか、あるいは対象者や国民には隠し切れるというおごりがあったのではないかと思えてしまう。

 人手が足りないのであれば、人手を増やすか、実施方法を簡便にすればよい。より簡便な方法に変更すべきだという考えがあるのであれば、決め事や公開情報を無視して、勝手に方法を変えるのではなく、取り決めをした上で、情報公開して変更すればよい。この問題が発生した2004年時点ならいざ知らず、情報が広く流布する今日において、対象者や国民に隠し切れると考えること自体に無理がある。

 厚生労働省は近年、いくつもの問題を起こしている。裁量労働適用者の労働時間調査が極めてずさんだった問題も、障害者雇用の水増しをしていた問題も、実施すべき調査方法をとらなかったり、障害者の範囲を恣意的に広げたりするといった不正であり、今回の問題と根が同じである。

 障害者雇用水増し問題の際に、根本厚生労働相は、「大事なのは責任を自覚し、再発防止に向けて取り組むことだ」という意味の見解を示し、職員を処分する考えを示さなかった。さすがに堪忍袋の緒が切れたのか、今回の毎月勤労統計の問題にあたっては、さらなる調査を実施した上で関係者を処分する考えを示している。

 しかし、問題は、担当者や関係者を処分したかどうかではない。再発防止策が実行できるかどうかである。同種の問題が次々と露呈していること、長年にわたって放置されてきた問題も含まれていることから、果たして再発防止策は機能すると期待できるのだろうか。再発防止策が実行されないのであれば、大規模な人の入れ替え、組織の再編成が不可欠だ。