昨年7月の金融政策決定会合では、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」の決定を受けて、ETFの銘柄別の買入額が見直されましたが、全体の購入額は昨年も日銀が目標とする年間6兆円を超えるものとなりました。一方、長期国債は年間80兆円ペースで買入れするとしているなか、実際には足元では年間40兆円ペースと、ここ2年程かけておよそ半分程度にまで減少してきています。こうして密かに量的緩和が縮小されることをステルステーパリングと言いますが、この国債の買入れペースは今後も緩やかに低下していき、2019年末には年間25兆円程度のペースに下がっていくとみられます。

 これまでの量的・質的金融緩和では、実際には物価の上昇に繋がっていないことから、物価上昇に向けてはまた別のアプローチが必要と考えられます。ただ、貨幣の供給量を増やすだけではなく、例えば、実質GDPの成長といった付加価値の生産増に加えて、賃金としてこれを適切に分配し、更にその支出を促すといった循環を作り出すことが必要と考えられます。なかでも、賃金の適切な分配がなされているかが重要と考えられます。具体的には、人件費を付加価値で割った労働分配率をみると、足元まで低下傾向となっています。実際、企業は営業利益が増加傾向にあるなかで、現金・預金残高を積み上げており、賃金への分配割合が低下していることが、物価の伸び悩みの一因になっている可能性が指摘できます。

ECBの政策金利引き上げは
2019年12月から2020年3月頃にかけてか

 日銀の金融政策決定会合の翌日には、ECBの金融政策委員会が行われます。ECBは、2014年6月に日米欧主要3中銀で初めてマイナス金利政策を導入しました。現在は、政策金利が0.00%、金融機関が余剰資金を預け入れた際に適用される中銀預金金利(預金ファシリティ金利)が▲0.40%となっています。また、ECBは量的緩和策である資産購入プログラムとして毎月資産買入れを行ってきましたが、これを段階的に減額し、昨年末で終了させました。今後は利上げの時期がいつになるのかなどに注目が集まっています。
 
 ユーロ圏の景気は、直近では2017年末が成長率のピークでした。2018年に入ってからは緩やかに成長が減速しつつも、底堅さを維持しています。しかし、ドイツやフランス、イタリアなどで政治的な不透明感が続いていることや、原油価格が一時に比べて大幅に下落したことでインフレ期待が低下していること、英国のEU離脱(Brexit)交渉が難航していることによる企業心理の悪化などから、当面は金融政策の据え置きが続きそうです。三井アセットマネジメント調査部では2019年12月頃に中銀預金金利を引き上げた後、2020年3月頃にそのほか全ての政策金利の引き上げに向かうと見込んでいます。