トランプの利上げ批判はFRBの「不都合な真実」を突いているパウエルFRB議長 Photo:Federal Reserve

 10月に入り、米国の株式市場が不安定化する中で、トランプ大領領の米連邦準備制度理事会(FRB)に対する批判がエスカレートするばかりだ。

 他の政治問題に関するツイッターの表現を考えれば、中央銀行であるFRBに対して「狂っている」という言葉を使うことも、今や驚くことではないのかもしれないが、自ら任命したパウエル議長を公然と批判したことに衝撃が走った。

 独立性が求められる中央銀行の金融政策に対し大統領が直接注文をつける異例さもさることながら、トランプ政権とFRBの間で政策の考え方に不整合の兆しが生じれば、金融市場だけでなく企業や家計にとっても、今後の政策の方向性や効果に対する疑念が生ずることになるだろう。

 またFRBが批判に屈して利上げを遅らせたとの印象を与えれば、金融市場ではFRBがいわゆる「ビハインド・ザ・カーブ」に陥ったと懸念し、長期金利がむしろ上昇しかねない。

 だが、今回の大統領の批判はFRBの抱える「不都合な真実」を突いた面がある。

インフレ率が高くない中で
なぜ利上げ続ける?

 つまりその表現ぶりはともかく、少なくとも問題意識に関しては合理的な面もうかがわれる。それは、米国のインフレ率がそう高くないのに利上げを続けることは適切かというシンプルな疑問だ。