今年2回見通しのFRBの利上げは、
年後半の1回に留まる可能性も

 日銀やECBがマイナス金利政策を継続している一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の正常化を進めています。FRBは、2015年12月に約7年ぶりに政策金利(フェデラルファンド(FF)レート)の変更に舵を切り、その後0.25%ずつ断続的に利上げを続けています。2018年は4回の利上げが行われ、現在のFFレートは2.25%~2.50%となっています。

 米国経済は、個人消費の力強い拡大を支えに、景気と雇用の力強い拡大が持続しています。直近2018年12月の雇用統計では、最も注目される非農業部門雇用者数は前月比+31.2万人と市場予想を大幅に上回り、3ヵ月及び6ヵ月の移動平均でみても基調として20万人を上回るペースの増加を維持しています。また、賃金は前年同月比+3.2%と3ヵ月連続で3%台の増加となっています。

 一方で、米中貿易戦争の影響は米国経済にも見られはじめています。例えば、ISM製造業景況感指数は54.1と、中立水準の50を大きく上回ってはいるものの、市場予想の57.5や、11月の59.3から大幅に低下しました。ISMの発表資料によると、関税に関するコメントが多く、これまでの関税前の駆け込み需要の剥落が見られていると考えられることに加え、中国経済の減速などを踏まえると、今後も軟調な展開が予想されます。また、トランプ大統領によるメキシコとの国境の壁の建設費用を巡り予算がまとまっていないことから米国政府機関の閉鎖は過去最長期間に及んでいます。これまでもトランプ政権では重要閣僚の交代が相次ぐなど、内政の不安定さも気になるところです。

 これに対し、FRBは12月のFOMCで2019年の利上げ見通しを3回から2回へと下方修正しただけでなく、今年に入りパウエルFRB議長が政策を柔軟に調整する用意があると述べ、バランスシートの縮小方針を見直す可能性に言及するなどハト派的な発言をしています。今年は前述の通りFRBは2回程度の利上げを見通していますが、三井アセットマネジメント調査部では年後半に1回行われるに留まると見ています。このため1月にはFFレート等金融政策の変更は行われないと見られますが、今後はパウエル議長を始めFRB高官の発言に注目が集まりそうです。

(三井住友アセットマネジメント 調査部 脇坂理恵)