「属人化」を解消して、「強いチーム」をつくる

 もうひとつ、熊本県にある健康食品会社のエピソードもご紹介しましょう。この会社では、社長とマネジャーたちが一丸となって「働き方改革」を推進。当初、社員の多くは消極的だったのですが、マネジャーたちが粘り強くアプローチを続け、少しずつ全社的に「働き方」が変わっていきました。

 なかでも、「属人化」を解消することによって、不在のメンバーがいても、ちゃんと仕事が回る体制を整えることに注力。「長期の休みは取りづらい」とあきらめていたメンバーたちのリフレッシュ休暇の取得率も100%になったのです。

 そんなとき、2016年4月に熊本地震が発生。震源地にほど近い社屋は破損等の被害を受けながら、一階を緊急避難所として地域に開放しました。一方、全国にいるお客様の多くは、同社が熊本地震の被災企業であることを知りませんから、どんどん注文は入ってきます。避難所生活を余儀なくされているメンバーもいるなか、避難所としての機能を発揮しながら、通常どおりの業務を進めなければならなかったのです。

 しかし、ここで、日頃から「属人化」の解消を進めてきた成果が現れました。すべてのメンバーがあらゆる業務をこなすことができますから、なんとかお客様のオーダーにも対応することができたのです。しかも、避難所生活を送るメンバーや、両親の世話をしなければならなくなったメンバーには、気兼ねなく休暇を取ってもらうこともできました。「もし働き方が以前のまま属人化した状態だったら、業務が滞りお客様にも多大な迷惑をかけていました」と語る社長の姿が目に焼きついています。

 このように、「属人化」を解消しておくことが、どんな状況に陥っても稼働する「強いチーム」をつくることに直結するのです。こうしたメリットについても、「カエル会議」でメンバーに伝えたうえで、「属人化を解消できるように、みんなで工夫していきましょう」と呼びかけるといいでしょう。