2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

「増やしたい仕事」「減らしたい仕事」がわかれば、<br />もっとラクな働き方ができる

何を分析したいかを考える

 前回ご紹介した「朝夜メール」(実物は下図)は、チームで働き方改革をすすめるうえで欠かせないツールです。ただ、これを始めるときには、どのような「項目」を立てて、働き方を記録していくかを決めておく必要があります。

「増やしたい仕事」「減らしたい仕事」がわかれば、<br />もっとラクな働き方ができる

「朝夜メール」の最大のメリットは、一定期間の「朝夜メール」を集計して、チーム全体で「何にどれだけの時間を使っているのか?」を把握できることにあります(下図参照)。

「増やしたい仕事」「減らしたい仕事」がわかれば、<br />もっとラクな働き方ができる

 そして、「朝夜メール」を集計・分析するためには、メンバー全員が「資料作成」「会議」「外出」などの「共通した項目」を立てたうえで、それに該当する個別タスクを記入しておく必要があります。メンバーがバラバラに個別タスクを記入していては、チーム全体の「働き方」を集計・分析することは不可能だからです。

 ここで、議論の土台となるのが、連載第18回でご説明した「チームのありたい姿」です。
 特に重要なのは、「ありたい姿」に盛り込んだ、チーム全体で「どの仕事を増やし、どの仕事を減らしたいのか?」という部分です。次のような「ありたい姿」を共有したチームで、どのように「項目」を決めていくかシミュレーションしてみましょう。

【チームのありたい姿】「明確なゴールを定め全員で共有し、高いモチベーションを落とさずに、作業の標準化や会議の質を上げるなどで無駄な時間をそぎ落とし、創造・実験活動に多くの時間を割けるようにすることで、生産性を上げてチームの価値を最大化する」

 このチームでは「増やしたい仕事」として「創造・実験活動」を挙げるとともに、「作業の標準化や会議の質を上げる」ことで「無駄な時間を減らしたい」と明記しています。そこでこの認識をベースとしてメンバーに、具体的な「増やしたい仕事」「減らしたい仕事(効率化したいこと)」を付箋に書いてもらいます。