過去は米国の景気が
日本にとって非常に重要だった
「米中貿易戦争」が激化しつつあり、米国の景気にも悪影響が出そうな様相を呈してきた。米国としては、覇権を懸けた“冷戦”で「肉を切らせて骨を断つ」という覚悟ができている模様だから、景気の悪化は避けられないという見方もある。加えて、FRBの相次ぐ利上げによって、米国の景気が悪化するとの見方もある。
筆者は、メインシナリオとして、「米国の景気は拡大を続ける」と考えている。市場参加者の中には悲観的な人も多いようだが、FRBの強気の判断を尊重したい。
もっとも、いつの場合でもリスクシナリオを考えておくことは重要だ。そこで、仮に米国の景気が後退を始めたとしたら、日本経済はどのような影響を受けるのかは、あらかじめ考えておきたい。
戦後の復興期から高度成長期にかけて、「米国が風邪を患うと日本が肺炎になる」といわれていた時代があった。当時は、需要は無限だったが外貨が不足していたため、「米国が不況になって対米輸出が減ると、ドルが不足して必要な資源が輸入できなくなる」というわけだった。
その後、日本経済のドル不足は解消したが、高度成長が終わると今度は需要不足に見舞われるようになった。内需が不足しているので、対米輸出が減ると景気が悪化し、それを財政による景気刺激策で回復させるというパターンが定着した。