「形だけのデジタルではなく、中身があるものを提供する」――。メディア向けのプレオープンの壇上で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の亀澤宏規・執行役専務は力を込めて語った。
1月21日、国内最大手の三菱UFJ銀行は、新しいブランドを冠する店舗の第1号店を学芸大学駅前(東京都目黒区)にオープンした。ブランドの名称は、「MUFGネクスト」。完全ペーパーレスで取引ができるタブレット端末や、住宅ローンなどの相談ができるテレビ窓口、カメラを通じて顧客の行動をモニタリング・分析する機能などデジタル技術を全面的に導入した、まさに次世代型の店舗だ。
この新ブランド立ち上げの背景にあるのは、消費者の“銀行離れ”に他ならない。近年のコンビニATMの台頭や、インターネット上で銀行取引ができる環境の整備に伴い、消費者の来店ニーズは激減。三菱UFJ銀の来店顧客数は、過去10年間で4割減少し、反対にネットバンキングの利用者は4割増加したという。
かねて平野信行・三菱UFJFG社長も、「顧客ニーズの変化やテクノロジーの進化に併せて、金融機関の提供するサービスの形や価値は変化しなければならない」と危機感を露わにしてきた。
こうした時代の変化に対する三菱UFJ銀の“挑戦”が今回の新店舗だ。店舗内には、ネット取引が不慣れな顧客に向けて、スマートフォンアプリなどを体験してもらえるスペースを設置。これら次世代の銀行の姿を体験できる店舗を、学芸大学駅前支店を“旗艦店”として、2023年度までに70~100店に増やしていく考えだ。