安倍晋三首相は、2019年の年頭の挨拶で、「社会保障元年」と位置づけた。そのためには、抑制策と財源の捻出が喫緊の課題となっている。これに対し日本医師会の横倉義武会長は「安定した社会保障を受けられれば、消費も増え財政再建にもつながる」と訴える。(ジャーナリスト 横田由美子)
首相が年頭の挨拶で
「社会保障元年」と位置づけ
──安倍晋三首相は、2019年の年頭の挨拶で、「社会保障元年」と位置づけました。団塊の世代が75歳(後期高齢者)になる2025年を目前に控え、高齢化社会は深刻化します。一方で、医療・介護・年金を中心とした社会保障関係費の自然増は、毎年6000億円が見込まれ、抑制策と財源の捻出が喫緊の課題となっています。
横倉 医療費の伸びの予測推計というのは、年齢別人口にその2~3年前ぐらいの医療費を掛けて出しています。6000億円は年金も介護も全部入れた額。医療費だと、約2000億円といわれています。
われわれ医療側の努力によって自然増の伸びが抑制され、2016~18年は、6300億~6700億円増という数字になりました。2019年度も自然増は約6000億円でしたが、生活扶助見直しの実施や薬価改定などの削減策などもあり、最終的な増加分(一般フレーム分)は4768億円でした。