海外と日本で同時ヒット
全ての経験が生かされた

 結果は、期待をはるかに超えていた。出荷数量分があっという間に完売してしまったのだ。増産がかかるたびに、その数量の桁が増えていく状態だった。

 期待を超えた出来事はもう一つある。日本に旅行に来たときにアネロのバッグを買った香港の有名ブロガーが、「開口部が大きく開くので、赤ん坊の荷物などをたくさん詰め込めるマザーズバッグとして便利」とブログで拡散したのだ。ちょうどインバウンド観光客による爆買いが盛り上がり始めた時期でもあり、日本と同時に台湾、タイ、マレーシア、フィリピンなどに口コミで人気が広がった。

 アネロの日本での販路は、卸売りとECサイトが中心だが、海外ではタイに60店、フィリピンに27店ものオフィシャルストアを持つ。大阪・心斎橋に基幹店をオープンしたのは海外出店よりも後となる17年12月だ。

 バッグのヒットを機に、アネロのブランドサイトや、スタイルブックなど、ファッション誌のようなスタイリッシュな宣伝媒体も自社で作った。この価格帯のカジュアルバッグでは、あまり見掛けない念入りなマーケティングである。

 また、店舗での陳列の様子を取引先がイメージしやすいよう、店舗を模したショールームも竹本自ら造った。イラストレーターを目指したときに学んだデザインの知識や、無印良品で担当していたショーウインドー作りの経験が、十数年後生きることになった。

 ここまでの成功は夢にも想像していなかったという竹本だが、これは必然である。これまで学んだこと、成功したこと、失敗したこと全てが結実したのだ。「一過性の流行ブランドではなく、定番として長く愛されるブランドになってほしい」という竹本。全アジアで支持を得るアネロは、確実にその地位を築きつつある。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

【開発メモ】アネロ 口金リュック
 口金が入っており開口部が大きく開くため、バッグの底まで完全に見通せ、荷物の出し入れもらくらく。アウトドアリュック並みの機能性を持ちつつ、街中での普段遣いでも十分にファッション性が高く、しかも低価格という“全部入り”のリュック。女子大生、子育て中のママからビジネスマンまで、愛好者は幅広い。
アネロ 口金リュック