上野動物園モノレールが11月1日に運行休止となることが決まった。日本最古のモノレールとして誕生し、廃止論を乗り越えて来園者に親しまれた上野動物園モノレールの歴史を改めて振り返ってみよう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

日本最古のモノレールが
残念ながら休止に…

上野動物園モノレールが廃止の危機にさらされています。
1980年にも廃止論が出た上野動物園モノレール。当時は動物園開園100周年の記念事業の一環として存続が決まったが、今回はどうも厳しそうな雲行きである Photo:PIXTA

 東京都は1月23日、上野動物園の東園と西園を結ぶ上野動物園モノレールの運行を、11月1日に休止すると発表した。関東近郊で生まれ育った人ならば、おそらく一度は乗ったことがあるはずのこの乗り物、実は動物園の遊具ではない。正式名称を「上野懸垂線」という、日本最古のモノレールなのである。

 現在運行している4代目の車両は2001年のデビューから既に17年が経過し、老朽化が進んでいる。他に同じ構造の路線はないため、車両は特注の一品モノ、新造には18億円を要するという(ちなみにJRの通勤電車は1両1億円が相場である)。今後車両以外も大規模な設備更新が必要となることから、検査期限の切れる10月をもって運行を休止した上で、今後の対応を検討するという。

 休止前に一度乗っておこうと思った方、いま上野懸垂線は動いていないので要注意だ。休止のニュースで気が抜けてしまったというわけではないだろうが、翌24日に車両故障が発生して、それから運転を見合わせたままなのである。走行装置のベアリングが損傷しており、その他の機器についても不具合がないか詳細な点検を行う必要があるという。損傷の度合いによっては、このまま運転再開されずに廃止される可能性もあるだろう。

 上野動物園の園内を走る日本最古のモノレールは、1957年に東京都が将来の都市交通を担う新たな交通機関の実験線として建設したものだ。ようやく地下鉄丸ノ内線が開業したばかりの当時は、都心の交通は路面電車とバスが中心で、道路の混雑が問題になっていた。都電をすべて地下鉄に置き換えることができればいいのだが、地下鉄建設には巨額の費用がかかる。そこで、地下鉄ほどの輸送力を必要としない区間は、建設費が比較的安いモノレールで対応しようという考えだった。

 モノレールは道路や河川の上でも短期間で設置でき、ゴムタイヤを用いるため急勾配や急カーブを走行可能で、騒音も少ないという利点がある。通常の高架鉄道は上空を丸々遮ってしまうが、細いレールの上を走るモノレールは、日照や景観への影響が小さいというのも売りだったようだ。