若者が100万円の自動車を買う場合と、高齢者が100万円分の介護サービスを受ける場合で、どちらもGDP上の個人消費は100万円だが、全自動ロボットが自動車を組み立ててしまえば失業者はあまり減らない一方で、介護サービスには人手がかかるので失業者は大幅に減る。

 したがって、少子高齢化によって自動車を買う人が減り、介護を受ける人が増えると、GDPは変わらないのに失業者が大幅に減ってしまうのだ。これは少子高齢化の結果といえよう。

人々が安売りより
サービスを求めるように

 もう1つ、デフレからの脱却で、人々が安売りよりサービスを求めるようになったことも影響している。ビールを少しでも安く買うために遠くのスーパーまで買いに行っていた消費者が、利便性を求めて通信販売でビールを買うようになったとすれば、宅配便の需要が増えるので失業者は大幅に減るであろう。

 つまり、GDPは増えていないけれど、必要とされる労働力は増えているので失業が減り、景気がよくなっているというわけだ。

 最後に余談だが、景気拡大期間が戦後最長となったこと自体は、それほど喜ぶべきことでもなさそうだ。景気拡大のペースが緩やかであるがゆえに長続きしているという面が強いからだ。そのあたりは、「『いざなぎ景気を超えた』理由は景気回復が実感できないほど緩やかだから」 をご参照いただければ幸いだ。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)