「成績優秀な大学生が自宅やオフィスをお掃除します」。フロリダ大学の学生が創業した清掃サービス会社、スチューデント・メイド。創業から10年、“非常識なまでに徹底した、社員を大切にする経営”により、全米で大評判となった同社の採用面接には、今やミレニアル世代を中心にさまざまな世代が押し寄せるという――。この連載では、同社の創業者、クリステン・ハディードの著書『離職率75%、低賃金の仕事なのに才能ある若者が殺到する奇跡の会社』(クリステン・ハディード著/本荘修二監訳/矢羽野薫訳)の記事からその驚くべきストーリーやノウハウを紹介し、同書にインスパイアされた各界で活躍されている方のインタビューを掲載していきます。

ミレニアル世代と働く秘訣

 2007年にクレイグズリストに「成績優秀な大学生が自宅やオフィスをお掃除します」と広告を出して以来、私の会社は何百人という学生を雇ってきた。

 私の仕事について説明すると、たいてい次のような反応が返ってくる。
「ミレニアル世代に、どうやって掃除をさせるのか?」

 まるで、Y世代を洗脳する呪文を私が知っているかのような口ぶりだ。FOXやPBS、フォーブスなど大手メディアが私の会社を取り上げるのは、普通ではないからだ。怠惰で無関心と評される世代だけを雇い、きつくて、ときに屈辱的で、単純な仕事をさせている会社が、どのように生き延びているのだろうか、と。

 人々が衝撃を受け、その秘密を知りたいと思う理由は、私にもわかる。1982年頃から2000年頃にかけて生まれたミレニアル世代は、アメリカ史上最も人数の多い世代で、2025年には労働人口の75%を占めると見られる。企業にしてみれば、自分たちの成功はミレニアル世代にかかっているのだから、彼らを動かす力を理解したい。

 私自身もミレニアル世代だ。私たちが「雇用に適さない」「自意識過剰」というレッテルを貼られていることも承知している。下積みに興味がなくて、すぐトップに駆け上がれると思っている。顔を見て話そうとせず、小説のように長いメールを送る。批判されるとすねるから、上司は慎重に言葉を選ばなければならない。自分が「インパクト」を与えていると感じられない仕事はさっさと辞めるくせに、どういうインパクトを与えたいのか、具体的に説明できない。私たちミレニアル世代は、そんなふうに思われている。

 このようなステレオタイプは、すべて見当違いというわけではない。私の会社にも、そのまま体現している学生がたくさんいる。しかし一方で、ステレオタイプに当てはまらない学生もたくさんいる。ほかの世代も同じだ。

 私の会社は最近、17~18歳の高校生を雇うことがある。いわゆるZ世代だ。ときにはベビーブーマーもいる(「学生」が若いとは限らない)。ミレニアル世代と同じように彼らも、自分たちの世代の標本のような人もいれば、そうではない人もいる。

 したがって、ミレニアル世代が大多数を占めるチームを率いることは、私が会社を率いるうえで最大の課題ではない。この旅を始めるときに私が理解していなかったことは、世界で最も難しいビジネスモデルを選んだということだ。