清掃ビジネスの避けられないつらさ

クリステン・ハディード
スチューデント・メイド創業者兼CEO
2008年フロリダ大学在学中に、学生のみを雇用する清掃サービス会社「スチューデント・メイド」を起業。彼女が大学生として始めたビジネスである同社は、数百人の人材を雇用するまでに成長しており、業界をリードする離職率の低さ、信頼性、責任感、エンパワーメントの文化が全米で知られる。スチューデント・メイドで仕事をした学生の多くは、自分のビジネスを起業し、世界中の企業で非常に重要なポジションに就職している。スチューデント・メイドは主要メディアで次々と紹介され、著者には同社の成功から学びたいと講演依頼が全米の組織から殺到。現在は、スチューデント・メイドの経営のかたわら、人々に永続的かつ意味のあるインパクトを与える支援をする目的で多くの講演や研修などを行う。
Photo by Pete Longworth

 まず、私の会社は学生しか雇わない。彼らがミレニアル世代かどうかに関係なく、学生であるということ自体が大きな障害になる。授業や課外活動、インターンシップ、春休みに集中する「急病」などを調整してスケジュールを組まなければならない。さらに、年度末のたびに集団離脱が起きる。大学を卒業したら、私たちのチームからも卒業するからだ。

 次に、清掃という仕事の性質がある。私たちのチームは週7日、住宅やオフィス、学校、コンドミニアム、診療所、ジム、フラタニティ(友愛会)のハウスなど、ありとあらゆる場所を、ときには夜まで掃除する。

 清掃は、特別に魅力的な仕事でも、楽しい仕事でもない。他人の汚れをせっせとこすることは不快にほかならず、肉体的に疲弊することは言うまでもない。

 しかも、高い賃金で人を集めようにも、清掃会社の粗利率は平均15%だ。私の会社も最低賃金をかろうじて上回る程度しか出せない。ショッピングモールでカフェラテを作り、流行の服を売るほうが、学生は簡単に、もっと多く稼げる(どちらも清掃よりはるかに魅力的な仕事だろう)。

 清掃業界の離職率が75%であることも、私に言わせれば驚くまでもない。100人雇ったら1年以内に75人が辞める計算だ。

 さらに、清掃業界はクライアントの定着率が低い傾向にある。標準的な会社は、仕事の質が悪いという理由で、毎年55%の顧客を失う。この数字を克服するためには、従業員の教育に多大な投資をする必要があるが、多くの会社はそこまで余裕がない(何しろ粗利率は15%だ)。