自慢抜きの組織の歴史は
意外と喜ばれる
現在、私にはいわゆる“部下”と呼べる人はいません。大学院や自分で開設している私塾のようなゼミの教え子はいるのですが、部下ではありません。とはいえ、会社勤めをしていた頃は部下もいましたし、現在顧問をしている会社や社外取締役を務めている会社などでは、直接の部下ではありませんが、若手社員との付き合いがあります。
そうした関係の人たちとのコミュニケーションにおいて、「最近、つくづく面白いな」と思うのは、喜ばれる話と、明らかに心に響いていない、スルーされる話があるという発見です。
私も他の方々と同様、昔から若手に嫌われないように、過去の話はあまりしないようにしていました。
ところがある時、「昔話は嫌われるかもしれないけど、昔、この会社の営業ってさあ~」と語り出したことがありました。
すると「えっ、そうなんですか!?知らなかったな」といった感じで、若い人たちが結構食いついてきます。
それで「だから、この事業部はこんな経緯で今の形になったんだよ」などと言うと、彼らは「いや~、それは知りませんでした。以前から事業部がなぜ2つに分かれているのか不思議だったんですよ」と目を輝かせたのです。
つまり、自分たちが属する会社や組織の歴史の話は、歓迎される可能性が高いということです。