0.1%の重み

 銀行の窓口販売における苦情発生率は、1000件に1件。それを踏まえると、ごく一部の顧客がさまざまな同意書面にサインしたにもかかわらず、銀行に難癖をつけているだけのように見えてしまうが、そうではない。「契約した覚えがない」などと顧客に言わせてしまうほどに、実は銀行窓販がずさんであり、ゆがんでいるのだ。

 ゆがんだ実態は、銀行が置かれた状況を考えればすぐに合点がいく。そもそも銀行は、融資によって利ざやを稼ぎにくいという構造不況に目下陥っている。そのためここ数年は、投資信託の販売といった損失リスクゼロの手数料稼ぎに熱を上げてきたが、その投信は株式市場の変調で売り上げが鈍化してしまっているのだ。

 となると、残る選択肢は時に10%近い販売手数料が転がり込んでくる、外貨建て保険しかない。

 販売手数料などの費用を差し引いた、外貨建て保険の実質的な利回りは1~2%台前半が多く、投信と比べると投資商品として明らかに見劣りするが、そんなことは銀行として百も承知だ。

 むしろ、銀行窓口では利回りや投資リスクはさておき、高齢者をターゲットにして「預金を保険に振り替えれば節税につながる」などと相続対策を前面に出しながら、一時払いの外貨建て保険を強烈に売り込んでいるわけだ。

 銀行窓販における苦情の約7割が、60歳以上の顧客ということからも、その様子がうかがい知れる。

 高齢者への保険販売時に親族が同席することを内規で定めながら、実施率が全体の約3割にとどまるというデータもあり、銀行がトラブルを生みやすい環境を自らつくり出しているという側面もある。

 高齢になるほど苦情発生率が高い傾向にあるため、今後銀行への風当たりはさらに強くなりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)