リーマン以来の円高局面が到来?欧州が景気減速の震源地になる影響
グローバルな景気減速のフロントランナーとなっている欧州では、ECBによる大規模金融緩和からの脱却が難しくなっている。米国の追加利上げも遠のくなか、リスクオフの動きの先にあるものとは Photo:PIXTA

グローバルな景気減速が意識されているが、中国と並んでそのフロントランナーに立つのが欧州だ。想定以上に速いテンポで景気が減速したため、異例の大規模金融緩和からの脱却を目指す欧州中央銀行(ECB)の政策運営の舵取りも難しくなっている。米国の追加利上げも遠のく中で、リスクオフを反映した円高の足音が聞こえてきた。

昨年山を付けた欧州景気
減速のテンポは想定以上

 昨年後半からグローバルな景気減速が意識されているが、中国と並んでそのフロントランナーに立つのが欧州だ。先日発表されたユーロ圏の実質GDP(国内総生産)速報によると2018年の成長率は1.8%増と17年(2.4%増)から低下した。四半期の動きを見ても成長率は徐々に低下しており、景気は着実に減速していることがうかがえる。

 15年から17年の欧州経済は2%を超える堅調な成長を記録していた。好調な世界経済を背景に輸出が好調に推移して、景気を牽引した。また消費も、雇用改善や金融緩和を受けて堅調であり、経済成長を支えた。ただこうした動きは、18年に入ると着実に息切れするようになった。

 まず輸出が足踏みに転じた。背景には新興国の景気が減速したことがある。世界的なドル高を背景に、新興国の通貨は低迷が続いた。とりわけロシアやトルコなど、欧州にとって主要な輸出先である国の通貨は暴落も経験した。通貨安を受けて購買力を失った新興国向けを中心に、欧州の輸出は徐々に低迷したのである。

 さらに18年後半からは、米国との通商摩擦が激しさを増す中で、中国景気の減速にも拍車がかかった。こうした新興国を中心とする世界景気の減速が直撃する形で、欧州の輸出も不調に陥ることになった。海外向けの輸出依存度が高いドイツ企業の景況感は悪化に歯止めがかからず、厳しい状況になっている。

 他方で消費にも徐々にブレーキがかかった。失業率が低下するなど雇用は順調に改善したが、一方で原油価格の上昇を受けてインフレが進み、消費に向かい風が吹くことになった。そして何よりも、債務危機後の繰越需要が一服したことが、消費の伸びの鈍化につながったのである。

 欧州景気が18年に山をつけるという見方は、大方のエコノミストのコンセンサスであった。ただ想定以上に速いテンポで、ユーロ圏景気は減速している。こうした動きを受けて難しくなってきたのが、異例の大規模金融緩和からの脱却を目指す欧州中央銀行(ECB)の政策運営である。