バイトテロの被害企業は
明らかにバイト賃金が安い

 これらの企業名を見てピンときた方も多いだろう。そう、学生からは「時給の安いバイト先」として知られている業種なのだ。

 もちろん、「火のないところに煙は立たない」ではないが、これらの企業が「低賃金労働」だということは、客観的データが雄弁に物語っている。

 リクルートジョブズの調査研究機関「ジョブズリサーチセンター」は、「TOWNWORK」「fromA navi」などに掲載された全国の求人情報を抽出し、募集時の平均時給を割り出している。その2018年12月度の全国の平均時給をみると、さまざまな業種で1000円以上となっている中で、「974円」とダントツに低いのがフード系である。

 首都圏・東海・関西という三大都市圏を対象とした「職種別平均時給」という細かいデータを見ていくと、さらに興味深い事実が浮かび上がる。

 あらゆる職種の中で、「909円」とダントツで低いのが「CD・ビデオレンタルスタッフ」となっており、「974円」で「コンビニスタッフ」、「986円」の「ファーストフード」、「990円」の「レジ」、そして「999円」の「洗い場・パテントリー」「調理・コック・板前(見習い含む)」と続くのである。ちなみに、この序列は「バカッター」騒動が注目を集めた2013年もほぼ変わっていない。

 何をか言わんやであろう。他業界と比べて、平均時給が際立って低いこれらの職種は、ほぼ例外なく「バイトテロ」の舞台となっている。

 調理する魚をゴミ箱に投げ捨てる。唐揚げを厨房の床に擦りつける。レジ横のおでんに悪戯をする。CDレンタルに訪れた客の個人情報を晒せると暴言を吐く――。これらの愚かな行為は、すべて低賃金労働の現場で発生しているのだ。

 一部の有識者が指摘するように、この問題の原因が「日本の若者の情弱化」だというのなら、もっと広範囲の業種で「バイトテロ」が起きていなくてはならない。しかし、限られた業種で起きているのだから、この業種に特有の要因が、バイトテロ発生に影響を及ぼしていると考えるのが筋ではないのか。

 ということを言うと、「そんなのはこじつけだ!時給が低くても真面目に働いているバイトだってたくさんいる。そういう方たちへの冒涜だ!謝罪しろ!」と極論に走りがちな人がいるが、筆者は何も、時給の低いバイトをしている方たちがすべて「バイトテロ予備軍」だ、などと主張したいわけではない。

「低賃金」が引き起こす待遇への不満が、従業員に「バカなことだけど、いいか、やっちまえ」と背中を押している――つまり負の「やる気スイッチ」のような役割になっていないか、ということを申し上げたいのである。