報酬未精算請求書被告となった大手代理店の1社は、損害保険の販売拡大によりメガ損保の覚えがめでたいという。子会社生保を含めたグループ全体として、目を覚ますべきときだろう

昨年末、大手紙の報道をきっかけにクローズアップされた保険外交員の給与搾取問題。同時多発的に訴訟沙汰となり、保険の乗り合い代理店を中心に波紋を広げている。だが、問題は代理店だけにとどまらない。そこには、売り上げ至上主義ともいえる保険会社の存在が小さくないからだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 藤田章夫)

 2月4日、保険外交員搾取被害弁護団の弁護士たちが一堂に会した。場所は厚生労働省の記者会見室。一人の弁護士が、こう言い放った。

「労働をしにいったら165万円もの負債を背負わされる。そんなことがあり得ると思いますか」

 生命保険の外交員といえば、次々に保険を販売し続けなければ業界から退場させられるのが常。だが、保険販売において勤務先から多額の“借金”を背負わされる事態は、そうあることではない。

 にもかかわらず、同時多発的に元保険外交員25人が、給与から多額の経費を不当に天引きされたとして、請求総額7000万円を超える訴訟に踏み切った。

 今回、被告に名を連ねているのは、大手乗り合い代理店3社と小規模な乗り合い代理店1社の合計4社。かねて本誌でも指摘してきたように、大手3社は業界内でもいわく付きの代理店だ。

 請求額が4000万円超に上る大手代理店のFPパートナー。次に、FPパートナーからたもとを分かって独立したRKコンサルティング。そして、東邦生命保険(現ジブラルタ生命保険)出身者が立ち上げたグッドウインの3社だ。詳細は後述するが、この3社に共通するのは、共に旧委託型募集人を数百人規模で擁する乗り合い代理店であることだ。