2024年2月6日 AirJapan就航前発表会にて Photo by Koji Kitajima
ANAグループが中距離国際線LCCブランドの統廃合を決めた。JAL傘下の中長距離国際線LCCは好調な一方で、ANA系の認知度は非常に低いままだった。グループ再編でブランドが統合されると聞くと、一般的に「従業員はリストラされるの?」と思われがちだ。しかし、そうではない特異な事情がある。(航空ジャーナリスト 北島幸司)
「AirJapan」わずか2年で運航休止は
ANAグループ内戦略の迷走に翻弄された
10月30日、ANAホールディングス(ANAHD)は、中距離国際線LCC「AirJapan」をANA本体へ統合すると発表した。AirJapanはLCCとFSC(フルサービスキャリア)の中間に位置する「ハイブリッドエアライン」として2024年に鳴り物入りで登場したものの、26年3月で運航を休止する。
コロナ禍が収束して以降、航空需要は急速に回復しており、グループのリソースをANA本体へ集中させる合理的な経営判断ともいえる。しかし一方で、「グループ内戦略の迷走」に翻弄された結果であるともいえる。
そもそも、「AirJapanというブランドがあったんだ」と思う読者も多いだろう。中長距離国際線LCCは日本航空(JAL)傘下の「ZIPAIR」が路線を増やす一方で、AirJapanの認知度は非常に低いままだった。
ANAグループが、国内線と短距離国際線を担うLCC「Peach(ピーチ)」に続いて、AirJapanも成功させるには、まずブランド認知が必要不可欠だった。しかし、AirJapanという名称は、旧来の子会社「エアージャパン」をアルファベット表記にしただけの中途半端なポジショニングだった。この「認知度の低さ」と「戦略の曖昧さ」こそが、ブランドが早期に幕を閉じる遠因であったと言える。







