「元島民の気持ちの最大公約数は、自由に島に行ければいい。1島でも2島でも返してもらえるのなら返してほしい。それから、海を使わせてほしい。北方領土周辺の海域は、世界三大漁場の一つに数えられています。元島民は、すでに3分の2が亡くなられています。残された方々の平均年齢は84歳。もはや時間の猶予はありません。元島民の切実な願いをかなえるのが、いまを生きる政治家の責任だと思っています」

――ロシアは島の返還後、在日米軍が駐留することを懸念しています。ロシア側は国後島に軍事施設を置き、最新鋭の戦闘機も配備しています。

「在日米軍は北海道にも駐留していないのだから、北方領土に基地を置くことは考えていないと思います。私は、北方四島は非軍事化が望ましいと考えています。これも交渉のなかで、話が着けられます」

――6月に大阪で開かれるG20(主要20カ国・地域サミット)までに、進展は見られそうですか?

【増補】日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実【増補】日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実
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「6月までにまだ時間があります。2月16日にドイツで外相会談がありますが、予算が通った後にでも安倍総理はもう一度モスクワに行くべきです。G20で平和条約の大筋合意を取り付けるためにも、プーチン氏と詰めの作業をしたほうがいい。平和条約を結んでも、すぐに島は戻ってこない。引き渡し協定を作らなければいけませんから。沖縄も交渉から実際に返還されるまでに3年かかりました。今年が勝負の年なのです」

――安倍首相は日ロ平和条約を締結し、島の返還に向けた引き渡し協定を履行できると思いますか?

「履行できると思うから、いま『2島返還+α』のカードを切ったのです。総理はよく言います。元島民の思いをしっかり踏まえて、平和条約締結に向けて交渉したい、と。私は人道的な見地からも、決然と取り組まなければならないと思っています」(本誌・亀井洋志)

週刊朝日オンライン限定記事より
AERA dot.より転載