また、特に高額紙幣は脱税や不正な取引に利用されやすいので、この流通を減らすことにも社会としてメリットがある。

 キャッシュレス決済の普及は、大変いいことだ。

 筆者は、これまで個人的な収支の管理の容易さから「現金派」であったが、少々慌てつつ、自分の生活を「キャッシュレス派」に移行しようと思っている。ただし、やや浪費家なので「使いすぎ」を防ぐ意識的な工夫は必要だろうと思っている。

勝者の利益は莫大

 キャッシュレス決済に参入する事業者が、赤字を覚悟してでも自社のキャッシュレス決済を普及させようと思う理由は、多くのキャッシュレスシステムが乱立する状態が長く続くとは思えず、少数の業者に集約されていくと考えられるからだ。

 個人の事情を考えても、何枚ものクレジットカードを使い分けるのが不便であるように、何種類ものアプリをスマートフォンに入れてこれを使い分けるのはかなり面倒だ。個人的な希望を言うなら、できれば2つ、3つくらいの決済手段を持つとどこでも買い物ができるくらいでありたい。

 一方、競争の勝者となったキャッシュレス決済業者の利益は、莫大なものになる可能性がある。

 俗に「GAFA」と称されるようなIT企業は、検索やメールの提供、SNSサービスの提供、ネットを通じた物品販売、クラウドの提供など、「ネット経由で」個人情報をせっせと集めて、これを広告に利用するなどの形で大きな利益を生んでいる。

 だが、キャッシュレス決済ビジネスの勝者は、個人がネットに上げない日常のリアルな活動を一気に把握できる可能性がある(今やネットも十分“リアル”な生活の場だが、便宜的にネット以外を「リアル」と呼ぶことにする)。