ネットワーク外部性とは
価値が利用者数に依存していること
昔、電話が個人の家に設置され始めた頃、家族みんなで電話の周りに集まったものの、いつまでたっても電話がかかってこなかったという笑い話があった。
当たり前の話だが、他人の家にも電話がなければ、電話はかかってこない。すなわち、誰の家にも電話があり、誰でも使えるようになっていなければ、かかってくるはずがないのだ。
経済学では、利害関係や直接取引関係のない外部の要因、第三者の行動によって価値が変わることを「外部性」という。電話の例でいえば、使う人が多くなればなるほど利便性は高まり、電話の価値は高くなる。このように製品やサービスの価値が、利用者数に依存していることを「ネットワーク外部性」という。
例えば、数ある外国語の1つに過ぎない英語を、なぜどの国も、どの学校も最初に学ぶのだろうか。それは、英語が他の言語よりも優れているからではない。世界中で使っている人が最も多く、政治やビジネスの場で標準的に使われているからだ。この場合、「英語はネットワーク外部性に優れた言語」ということになる。
少し古い話だが、昔、ワープロが出始めた頃、わが国における文書作成ソフトは「一太郎」が主流だった。ところが、今ではマイクロソフトの「ワード」が最も使われている。ビジネスにおける文書のやり取りは、互換性がないとスムーズなやり取りができないため、多くの企業で使われていた「ワード」が一気に普及したのだ。