世界銀行は先日、「リバウンドから回復への転換」と題する東アジア経済のレポートを発表した。興味深い解説が多く含まれているため、ポイントを挙げてみよう。

 冒頭で、中国と韓国のV字型リバウンドが取り上げられている。今年の中国のGDPは、財政支出策と金融緩和策に支えられて、4500億ドル増加すると見込まれている。

 一方、G3(米欧日)のGDPは今年、合計5800億ドルの減少を示す。つまり、G3の減少の4分の3を中国の成長がオフセットすることになる。

 また、韓国はウォン安の恩恵を受けて、工業製品の海外競争力が高まっている。現代自動車の米国での販売シェアは、2007~08年の5%前後から、今年は7.4%にジャンプアップした。

 サムスン電子とハイニックスのDRAMの世界シェアは、08年第2四半期の53.1%から、今年第2四半期に61%へ上昇した。韓国製薄型フラットスクリーンの世界シェアは、45.5%から49.4%へ、携帯電話機は24.7%から30.6%へ上昇している。そのぶん、日本、台湾などのメーカーのシェアが食われている。

 中所得国では、タイとマレーシアがリーマンショックで大打撃を受けた。マレーシアには、日本および日本関連の企業が1300社以上もあり、昨秋以降の急激な生産調整に雇用が直撃された。