5月22日に開業した東京スカイツリー。入場者数(東京ソラマチなどの周辺施設を含む)が3日間で100万人を突破(計画では5日)するなど、滑り出しは予想以上に快調で、ホテル業界にとっても大きな追い風となっている。
宿泊予約サイトの楽天トラベルによれば、4月1日から5月29日までの東京都内の宿泊額は前年同期比54%増、震災前の2010年と比較しても24%増という。沖縄からの宿泊客の伸び率が47.8%、北海道からが37.1%など、東京スカイツリーをきっかけに、地方からの観光客が増加しているのがみてとれる。
東京スカイツリーと同様にホテル業界が期待しているのが、LCC(ローコストキャリア)の路線拡大だ。エアアジアが発表した成田―新千歳線の片道最低運賃は4580円。地方在住者にとっての東京が身近になりそうだ。
このチャンスに、本来、ビジネス客を主要顧客とするビジネスホテル業界が、観光客の獲得に動きだした。
例えば国際展示場に近く、ビジネス客が多い「東京ベイ有明ワシントンホテル」では、東京ゲートブリッジが見えるダブルルームをカップルプラン(1室6800円など)として打ち出した。「日曜日の宿泊客が大きく伸びている」(ワシントンホテルを運営する藤田観光の幹部)と、手ごたえを感じている。
中には、観光客を意識した新業態に乗り出すところもある。「ドーミーイン」を展開する共立メンテナンスは、4月に東京都・渋谷区に「ドーミーイン・プレミアム」を開業。通常のビジネスホテルはシングルルームが中心だが、ここでは、全体の4割がツインルームという。