絶望している人に寄り添う言葉
まさかの時の命綱に

 時間と共に癒やされない悲しみもあるはずなのに、長く悲しみをひきずっていると、周囲も「これだけ時間が経つのに、いつまで悲しんでいるんだ」となってくるし、自分自身も「いつまでも悲しんでいる自分はいけないんじゃないか」と思うようになる。そうすると、悲しみが癒えない上に、更に自分で自分を責め、周囲からも責められるようになってしまう。

 マクベスの邦訳には、これとは別に、「朝が来なければ、夜は永遠に続くからな」というのもあるそうで、著者としてはこちらの方がしっくりくるが、更にもう一歩踏み込んで、「明けない夜もある」と訳したらどうかと提案している。大切な人を失った深い悲しみのようなものは、いつまでも続くことがあるという意味で。

 こういった、絶望している人に寄り添う言葉。それが「絶望名言」である。

 ドストエフスキーは、『白夜』の中で、「われわれは、自分が不幸なときには、他人の不幸をより強く感じるものなのだ。」と書いている。辛い体験をした人間ほど、他人の辛い気持ちも深く分かるということである。

 こうした「絶望名言」の真意は、本当に絶望したことのある人にしか分からないかも知れない。それでも、まさかの時の命綱として、全ての人に本書の存在は知っておいてもらいたいと思う。

「明けない夜はある」絶望している人に寄り添う絶望名言

(HONZ 堀内 勉)