堀内 勉
「まさかの事態」はまだ始まったばかりなのだが、もしも我々が記憶に留めようと努めなければ、すべてが終わった時、今回のコロナウィルスのことも簡単に忘れ去られてしまうだろう。でも、そうすることによって、我々は本当に以前と同じ世界を再現したいのだろうか。

「貨幣とは何か?」「その価値の根拠はどこにあるのか?」これは誰でも一度は考えてみたことがあり、古代ギリシアの哲人アリストテレス以来、多くの哲学者や経済学者によって考察がなされてきた、シンプルでありながら実は極めて難解な問いである。マルクスの言葉を借りれば、貨幣とは「形而上学的な不思議さに満ち満ちた存在」なのである。

本書に出てくる「悪魔」というのは、宗教やオカルト的な意味での悪魔ではなく、「マクスウェルの悪魔」に由来する架空の存在である。

タベアルキストとして食の世界で絶大な人気を誇り、日本ガストロノミー協会の副会長でもあるマッキー牧元さんが企画・構成した、精肉業界のカリスマ・新保吉伸(にいほよしのぶ)さんの新刊書『どんな肉でも旨くする サカエヤ新保吉伸の全仕事』を早速読んでみました。

著者の山口揚平氏は、軽井沢と東京に居を構えながら一日3時間だけ働くというおだやかな暮らしを実践しているコンサルタントであり、またこれからのあるべき社会の未来を提示する思想家でもある。

アメリカの中流家庭に育った著者は、努力型の秀才で、名門私立高校フィリップス・アカデミーから奨学金つきでハーバード大学に進学した。そして、たまたま大学寮のルームメイトがフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグだったことで、自身も共同創業者として20代の若さで巨万の富を手にした。著者はこの運の良さの上にあぐらをかくのではなく、運の良し悪しが何世代かかっても解消できないほどの格差を生む「勝者総取り社会」に疑問を感じ始めた。

本書は、NHKの『ラジオ深夜便』の人気コーナーである、『絶望名言』を書籍化したものである。著者の頭木弘樹氏は、大学3年の時に難病にかかり、その後13年間の入退院生活を余儀なくされ、宮古島に住むようになった今でも完治はしていない。ベッドに寝ているだけの状態になり、完璧に無能な存在になった時に出会ったカフカの言葉が救われ、本を出版し、それがきっかけで、このラジオ番組を始めることになったという。

ホルモン一筋45年。「生ける伝説」「ホルモン馬鹿」と呼ばれる、本書『行列日本一 スタミナ苑の 繁盛哲学』の著者でスタミナ苑店主の豊島雅信さんいわく、「ホルモンを制する者は、焼肉業界を制す」のである。豊島さんの長年の努力が実り、スタミナ苑は、1999年には「ザガット・サーベイ」の日本版で総合一位を獲得し、2018年には「食べログアワード2018ゴールド」も受賞している。

ドイツの若き天才哲学者マルクス・ガブリエルは、2009年に29歳の若さでボン大学の哲学科教授に就任した、ポスト構造主義(ポストモダニズム)以降の「新実在論(new realism)」の旗手として、今、世界で最も注目されている「哲学界のロックスター」である。

年間600食を外食するというマッキーさんは、レストランやレシピに詳しいだけでなく、料理の腕も超一流で、なんと言っても、素材を活かした味付けが天才的です。そんなマッキーさんのノウハウが一杯詰まった渾身の作が、本書「超一流のサッポロ一番の作り方」です。

この『ゲンバクと呼ばれた少年』は、さながらギリシャ神話の最高神ゼウスが人類最初の女性パンドラに与えた箱の中からあふれ出た、戦争、貧困、疫病、憎悪といった人類を取り巻くあらゆる災禍と、それでも箱の底に最後に残されたかすかな希望の物語のようである。

初めはかなり怪しげな話だなと思って聞いていた。そもそも、アフリカで「電子マネー経済圏」を作るのに、「20億人」と言っている所からして何かおかしいと思った。と言うのも、アフリカの現在の人口は12億人しかいないからだ。
