景気の下振れ懸念
漂う先行きの不透明感

 それでは、なぜ今年の注目度がとりわけ高いのか。

 経済の低迷、景気の下振れが近年では他に例を見ないほどに懸念され、先行きに不透明感が漂っているからである。中国国家統計局が発表したデータによれば、昨年第4四半期の成長率は6.4%増、昨年全体では6.6%増で、天安門事件の影響を受けた1990年以来最低の数字を記録した。

 もちろん、中国政府も自国経済が「高速成長期」から「中高速成長期」に突入したという“新常態(ニューノーマル)”を自覚し、公言している。

 成長率が下がる中、持続可能な発展を実現するために供給側構造改革を推し進め、“高質量発展”という命名にも体現されているように、これまで以上に品質、法律、環境、ルールなどを重んじた経済モデルに移行していく必要性を随所で強調している。従って、経済成長率を下方修正すること自体は問題ではないといえる。

 一方で、党指導部の談話を含めて、経済情勢を巡る現状がかなり厳しいものであることを示唆するいくつかの兆候は複数存在する。以下、共産党指導部で経済政策に関わる3人のコメントをレビューしてみよう。

「昨今のわが国経済は全体的には良好であるが、経済の発展が直面する国際環境と国内条件には深刻で複雑な変化が見られる。供給側構造改革を推進する過程でいくつかの困難や挑戦に見舞われることは不可欠である。経済の運行は安定の中に変化が見られ、変化の中に懸念も見られる」(習近平国家主席、1月21日、中央次官級・地方省長級主要幹部を対象にした《ボトムライン思考の堅持と重大リスクの防止》をテーマとした研修会での談話)

「今年、経済の下振れ圧力は増大する。自信の不足が市場の先行きに影響する状況を高度に重視し、困難や挑戦に対応するための十分な準備をしていかなければならない」(李克強首相、1月16日、専門家や企業家を招待した座談会での談話)

「最近の一部政策決定には配慮に欠ける面があった。政策協調に乏しく、政策執行にも問題があった。市場への監視監督を強化する政策が功を奏さず、そればかりか信用の収縮を招き、民営企業の融資難を悪化させてしまった」(易鋼中国人民銀行総裁、11月6〜7日、官製メディア取材へのコメント)

 経済の先行き、とりわけ民営経済・企業に対する懸念や対策が顕著に表れている。その後も、中央政府は減税や規制緩和などを通じて民営経済・企業に歩み寄る姿勢を示してきている。