世の中には、生涯で本を5冊も読まない人が大勢います。
「購入された書籍全体の95%が読了されていない」のです。
でも、途中まで読もうとしただけでも、まだマシです。
「購入された書籍全体の70%は、一度も開かれることがない」のですから。
「最初から最後まで頑張って読む」「途中であきらめない」
こんな漠然とした考え方は、今すぐ捨ててしまって結構です。
これから紹介する1冊読み切る読書術さえ身につければ!
メリハリをつけて読む
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社文庫、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)など多数。<写真:読売新聞/アフロ>
前回紹介した「30分1冊勝負」の読み方について、
もっと具体的に説明しましょう。
あくまでもひと通り、すべてのページに目を通すのが基本です。
1ページずつ目を通すけれど、均等にまんべんなく読むのではなく、
メリハリをつけて読むようにします。
ページをめくりながら、
自分にとって「ご縁」がなさそうなページは3秒くらいでサッと失礼。
心が動いて「ご縁」がありそうなページは、ペースをグッと落として、
30秒くらい味わうようにします。
「ご縁」などというと、
ちょっとスピリチュアルな印象を持たれるかもしれませんが、
自分の感覚を研ぎ澄ませて、直感的に判断するということです。
ページをめくったときに感じる「ご縁」は「ときめき」とも言えます。
読書には、ときめくような感覚を意識することも大切なのです。
直感的な「ときめき」を感じながら読もう
2010年刊『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵、サンマーク出版)は、
国内外で大ベストセラーになりました。
この本では、モノを捨てるかどうかを「ときめく」か「ときめかない」かという基準で判断することを提唱していますが、
これは読書にも通じると思うのです。
ページをめくってときめいたら、ご縁があると思ってゆっくり読む。
ときめかなかったら、ご縁がないと思ってサッと失礼する。
そういうふうに自分の直感を頼りに、メリハリをつけて読むのです。
私たちは、ただ知識を求めて本を読むわけではありません。
内心では
「おー、すごい」
「そうそう、その通り」
「そんなことだったのか!」
といった知的興奮を求めているものです。
知的欲求という感覚をもとに、ときめくページを探せば、
1冊を読み切るときのメリハリがつくようになります。