「バルセロナでもスペイン代表でも、ビジャがプレーしていたのは常にあのスペースからだった」

 奇策でも何でもなく、ビジャが最も得意とするプレースタイルを取らせたと、試合後の公式会見でリージョ監督は説明した。実際、右利きのビジャは左サイドから何度も中央へカットインし、華麗なテクニックでスタンドを沸かせている。冗舌な素顔を持つ指揮官が続ける。

「チーム全体として目指していたのは、ビジャとポドルスキで相手の5人を引きつけた上で、イニエスタを相手のセンターバックからより遠くでプレーさせることだった」

 わかりやすく言い換えれば、セレッソは昨シーズンまでの4バックを3バックに変えて開幕戦に臨んできた。最終ラインの3人と左右のウイングバックの計5人を、ビジャとポドルスキが放つ脅威を介して左右に大きく広げさせる。必然的にイニエスタの周囲には、スペースが生まれ続ける。

「イニエスタに対する相手の対応を見ながら、他の日本人選手がプレーするのが今日の狙いだった」

 ビッグネームで形成された変則3トップの背後にいる山口や三田啓貴、左右のサイドバックから内側に入ってくる初瀬亮や西がイニエスタを追い越して相手ゴール前へと迫る。相手GKにキャッチされたが、失点する直前の後半30分には初瀬のクロスから西がヘディング弾を放っている。

 しかし、スタンドのため息を誘うような上手さを何度も魅せても、セレッソ守備陣に怖さを与えることはできなかった。全体的なコンビネーションもまだまだ熟成途上だ。前出の守護神キム・ジンヒョンは、ビジャが左サイドに張りついていたことで助けられた部分が大きいと試合後に明かしている。

「ゴールにつながることが多いので、真ん中で動かれた方がやっぱり怖かったと思う」