「60歳になったら…」「70歳になったら…」とイメージを働かせて、将来どんなことをしたいかを考えておく。こうした準備を40代のうちにはじめてほしい。生活についてでもいいし、仕事についてでもいい。楽しんで生きていくためには、趣味も重要だ。定年後に起こるあらゆることを、可能な範囲でシミュレーションしておくと、後半戦に入ってから慌てなくてすむだろう。

 また、後半戦に入ってからもゆとりを持つためには、40代後半あるいは50代前半から定年後の再就職活動をはじめてみてはいかがだろうか。「僕が60歳になったらあなたのところで働かせてください」と聞いて回って、定年後の仕事に当たりをつけておくのだ。

 さらに、転職先の1つとして考えたいのは、「定年の廃止・延長制度」がある会社である。厚生労働省の平成30年「高年齢者の雇用状況集計結果」(従業員31人以上の企業15万6989社の状況をまとめたもの)では、定年制を廃止した企業は2.6%、65歳以上定年の企業は18.1%と合わせて20.7%であった。まだまだ多くはないが、そうした会社に移れば定年後も長く勤められる。今の職場環境が気に入っていたとしても先々の働き口のことを考えるなら、後半戦を迎えてすぐに転職するのも選択肢の1つである。

 私は、会社に定年という制度があるのはいいことだと思っているが、その理由は、定年のことを考えるときが、その後の人生の計画を立てる絶好の機会になるからである。無理なく持続可能な定年後を実現するために、何が必要で、自分は何をすべきなのか。その答えをできるだけ早く見つけ出すことが、納得のいく後半戦にするためには、とても大切なのだ。

履歴書に“○○”は書かない!

 いざ行きたい会社に応募する際の履歴書や職務経歴書にもポイントがある。中には、前職の功績を考えつく限り書いてくる人がいるが、そういう場合、自分の価値をすべて知ってもらいたいと思うあまり、「社長賞を何度ももらった」「売り上げトップを維持し続けた」など過去の栄光でいっぱいの履歴書になってしまうのだ。少しでも自分をアピールしたい気持ちは痛いほどわかるが、過去のことはあまり書かないようおすすめする。ほとんど無視されるか、ネガティブに受け止められてしまうからだ。

 シニアの就職活動においては、過去の経歴がどれほど輝かしくても、単なる自慢話としか受け止められない。それどころか、「実績を上げたのは前の会社での話で、前の会社の商品を売っていたときのことではないか。きっと部下や上司、そして商品に恵まれていたから達成できただけだろう。うちに来て同じ業績が出せるのか?」と、採用担当者の反感を買う可能性すらあるのだ。