いつのまにか現れた停滞感や退屈さは、あなたがこれまでのステージを終わらせて、次に向かおうとしている証にほかならない。惰性で続けている生活習慣・仕事・人間関係などをしっかり終わらせる。終わらせることで、新たなものを受け入れる「余白」をつくるのだ。

その次にやってくるのが「[2]ニュートラルな段階」だ。過去のステージに別れを告げると、方向感覚が失われて不安が生まれるが、日々の自分の感覚に意識を向け、むやみやたらと動かないことが重要だとされる。

そこを通り抜ければ、最後には「[3]次のステージを探す段階」が訪れる。あれこれ探し回るなかで、そのうち自分が進むべき方向にピンとくるものが現れるだろう。そこからはモードを切り替えて、活発に動いていくだけだ。人は多かれ少なかれ、このようなプロセスを経ながら「転機」と言われるものをくぐり抜けている。

このうち誰にとっても顕著なのは、「[1]終わらせる段階」に生まれる違和感だ。それまでは楽しかったはずの仕事や趣味が、途端に彩りを失い、面白みが感じられなくなる。このような「モノクロの日常」を感じたら、トランジション(移行)のタイミングが迫っていると考えたほうがいい。心が「次なるチャレンジ」を求めているのに、頭がそれに気づいていないというサインなのだ。

「モノクロの日常」はチャンスである

とはいえ、これは「さっさと次に行きましょう!」という単純な話ではない。

「なんだか飽きちゃったな……」という思いだけに流されて、安直に別のことに手を出しても、「モノクロの日常」はまた近いうちにあなたに追いついてくるだろう。むしろ、そのような退屈さを感じとったときこそ、「自らの心の声に耳を傾けるチャンス」だと思ったほうがいい。

かく言う僕も、20代後半にそうしたトランジションに直面し、うつで1年間会社を休むことになった。非常につらい期間ではあったが、結果的にはこの経験から得たものは大きかったと思う。

この「余白」があったおかげで、僕は焦って次のキャリアに飛び移ったりすることもなく、本当にやりたいこと、つまり、自分のビジョンにじっくりと向き合うことができたからだ。

あのとき躓いていなければ、会社を起業するほどまでに「自分がやりたいこと」に強い確信を持てなかっただろう。