学生生活を卒業し、春から社会人生活がスタートする新入社員の皆さんに、今知っておくと入社後に大きな差がつく「仕事の基本」を、『入社1年目の教科書』著者の岩瀬大輔氏が解説します。
今回は、できる新入社員だけが密かに実践している「つまらない仕事」を面白くするコツを紹介。これができると「あの新人は優秀だ」と評価されることも。(まとめ/編集部)

できる新入社員だけが知っている!つまらない仕事を面白くするコツできる新入社員だけが密かにやっているコツとは? Photo:milatas-Fotolia.com

新入社員は「質」より「スピード」

岩瀬大輔氏岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。1976年埼玉県生まれ。東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)など多数。
(撮影/佐久間ナオヒト)

 今回は、原則3「つまらない仕事はない」について説明したいと思います。

 よく「つまらない仕事」という言い方を耳にします。
 とりわけ、新入社員がおこなう仕事は単調なものが多いかもしれません。
 しかし、世の中の仕事につまらないものなどないと断言したいです。たとえ単調な仕事だとしても、面白くする方法はいくらでもあります。
 その仕事は何のためにやるのか。その意味目的を知れば、単調な仕事であっても、様々な工夫ができます。

 例えば、上司から「これ、コピー1部とってきて」と言われたとします。
 自社の2017年春のカタログだとしましょう。16ページのカタログに、付箋が4箇所貼ってあります。
 この仕事ひとつとってみても、いろいろな用途が想像できます。

1.上司が自分で読むためのもの
2.お客様に配るためのもの
3.どこかにファイリングしておくためのもの

 そこで上司に聞いてみましょう。
「承知しました。コピーは付箋の貼ってあるページだけでよろしいですか?」
「ちなみに、ご自分でご覧になるものですか?」とか。
 ストレートに「それは何にお使いですか?」と、目的を聞いてみるのもいいでしょう。

1.上司が自分で読むためのものだった場合
 カタログの必要な箇所だけをまとめてコピー1枚にまとめて渡したほうが、一覧しやすいかもしれません。

2.お客様に配るためのものだった場合
 1枚目にお客様のお名前や「◯◯社カタログ2017年春号2~9ページ」などと参考元、打ち合わせの日付などを入れた「カバーレター」をつけて、ホチキス止めしたほうがいいかもしれません。

3.部署の営業資料としてファイリングしておくものだった場合
 裏表コピーをして、付箋が貼られていた商品をマーカーしてファイルに入れておいたほうがいいかもしれません。

 このように、「コピー1部お願い」だけで、様々な工夫ができるのです。

 つまり、「何のためにやるか」を一言、事前に聞いておくだけで、付加価値をつけて返せるかもしれないのです。
 よく「あの人は優秀だ。1を言うと10返ってくる」というような表現をしますが、まさに「コピーとって」で、1~3のような、目的に応じたアウトプットを返せる人のことです。