イシュー・ドリブンなアプローチであれば、ひとたび問題を発見してしまえば、やるべきことは見えてくる。しかし、ビジョン・ドリブンの起点となる「妄想(ビジョン)」が、勝手に姿を現すことはなかなかない。
先天的にそれが見えている人のことを、僕たちは「天才」(あるいは「狂信家」)と呼ぶのかもしれない。
ましてや、膨大な情報が溢れる現代は、「眩しすぎて大事なものが見えなくなっている時代」(ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授の言葉)だ。
やはり、99%の凡人にとっては、妄想を引き出す習慣を人為的にデザインしていくアプローチが、いちばんの近道なのである。
株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー。大学院大学至善館准教授/京都造形芸術大学創造学習センター客員教授。東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究科(Master of Design Methods)修了。P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業。BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインプロジェクトが得意領域。山本山、ぺんてる、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、ALEなど、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行っており、個人のビジョンを駆動力にした創造の方法論にも詳しい。著書に『直感と論理をつなぐ思考法――VISION DRIVEN』『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(クロスメディア・パブリッシング)がある。