ゾンビと踊る

クリステン・ハディード
スチューデント・メイド創業者兼CEO
2008年フロリダ大学在学中に、学生のみを雇用する清掃サービス会社「スチューデント・メイド」を起業。彼女が大学生として始めたビジネスである同社は、数百人の人材を雇用するまでに成長しており、業界をリードする離職率の低さ、信頼性、責任感、エンパワーメントの文化が全米で知られる。スチューデント・メイドで仕事をした学生の多くは、自分のビジネスを起業し、世界中の企業で非常に重要なポジションに就職している。スチューデント・メイドは主要メディアで次々と紹介され、著者には同社の成功から学びたいと講演依頼が全米の組織から殺到。現在は、スチューデント・メイドの経営のかたわら、人々に永続的かつ意味のあるインパクトを与える支援をする目的で多くの講演や研修などを行う。
Photo by Pete Longworth

を終えて沈み込んでいるハーフタイムのロッカールームで、選手を激励したあの情熱を。
「ねえ、聞いて、ビル。あなたが私たちのチームに来てくれて、すごくうれしいのよ。あなたがいなかったら、どうなっていたことか」

 不意を突かれたビルは顔を上げた。
「本当に?」
「本当よ!」
 彼は笑みを浮かべた。
「バスルームの担当になると最悪よね。わかるわ。でも、頑張ってくれてありがとう」

 ビルは丸めていた背中を少し伸ばした。ゆっくりと笑顔が広がる。死の淵からよみがえったかのようだ。そう、その調子よ。

「便器のカーブに合わせてブラシを回すの。ヘリコプターみたいに!」

 私は手拍子を始めた。足を滑らせるようなステップでバスルームの入り口に向かい、ヒップホップのリズムを刻みながら後戻りした。いつのまにかビルも便器の前でダンスの真似事をして、ブラシでリズムを取っていた。彼は笑っていた。私も笑っていた。やり過ぎだったかもしれない。

 芝居くさかっただろう。しかし、白カビと漂白剤のにおいが充満していたアパートメントに、突然新しいエネルギーが生まれた。

 ダンスパーティーが終わると、ビルは仕事に戻った。洗剤のコマーシャルのように手際よく動くトイレブラシは、私が銀行の融資を湯水のごとく使ったときよりスピーディーに動いていた。

 その日のうちに、別の部屋で再びビルに会った。ダンスパーティーの後、彼は5部屋のバスルームを磨き上げていた。

「隣の部屋のバスルームを見てよ」。彼は誇らしげに言った。「あんなに汚いバスルームは初めてだった。でも、今はピカピカだよ!」

 ビルは予定より1時間、長く仕事をしたいと申し出た。彼がすぐに辞めることは、なさそうだった。