踊るリーダーシップの効果
私がヘリコプターを降りて、学生の自主性を育てることを意識するようになる前は ― エリンとアビーに長い長いリストを渡し、すべての人に仕事のやり方を事細かに指示していたころは ― 学生が掃除をしている最中に現場を見て回った。彼らが何かミスをしたら、クライアントが気づく前に私が見つけようと思ったのだ。
一方で、それは学生を直接励ます格好の機会にもなった。ビルのときと同じように、見回りの際に会ったすべての学生に、彼らがスチューデント・メイドで働いてくれることに感謝していると話した。ほんの少しでも士気が下がっていると感じたときは、おだてて、ハイタッチを交わし、場を盛り上げた。床に拭き残しがあったり、ベッドメイキングが下手だったりしたときは、いつもより元気よくハイタッチをした。
もちろん、その場で正しいやり方を教えることもできた。でも、そのくらいのことで気分を悪くさせる必要はないと思った。彼らが次の部屋に行ってから、私が自分でやり直した。それでいいではないか。
ばかげていると思うかもしれないが、チアリーディング作戦は実際に効果があった。辞める人が減っただけでなく、急な病欠も減って、学生は自分からシフトを増やすようになった。多くの人が友人を、一緒に働こうと誘った。会社も順調で、私はチアリーディングが大いに貢献していると思った。ただし、応援が陳腐になると効果が薄れかねない。私は常に新しいアイデアに目を光らせていた。
そんなとき、ある記事が目に留まった。毎朝、右のポケットに1セント硬貨を5枚入れて仕事に行くというリーダーの話だ。彼は会社で誰か1人ほめるたびに硬貨を1枚、左のポケットに移す。右のポケットが空になるまで、つまり1日に5人をほめるというノルマを終えるまで退社しない。これを読んで私はひらめいた。それなら毎日「全員を」ほめようではないか(5セントなんて子どもだましだ!)。
私は毎朝、その日のシフトに入っているメンバーの一覧表をプリントアウトしてクリップボードに挟み、1日中持ち歩いた。学生に会うたびに感謝と励ましを伝え、一覧表に「済み」の印を付けた。「このチームにあなたがいてくれて、私は本当に幸運だわ」「今日も一生懸命に働いてくれてありがとう、ダストバスターさん!」など、グリーティングカードにしたためるようなメッセージをメールや口頭で伝えた。
友人たちには、クリップボードがダサいと笑われた。しかし、私の感謝の言葉を聞いた学生の笑顔や、笑顔の絵文字の一つひとつを思えば、からかわれても平気だった。
誰に何を言われても、私はチアリーダーであり続けた。学生がどんなことをしても、ほめる理由を見つけ、彼らが私にとってどんなに大切か、スチューデント・メイドにとって彼らがいかに必要かを伝えた。
ただし、コートニー以外は。
彼女に言うべきことは一つだけだった。いい加減にしなさい。