「成績優秀な大学生が自宅やオフィスをお掃除します」。フロリダ大学の学生が創業した清掃サービス会社、スチューデント・メイド。創業から10年、“非常識なまでに徹底した、社員を大切にする経営”により、全米で大評判となった同社の採用面接には、今やミレニアル世代を中心にさまざまな世代が押し寄せるという――。この連載では、同社の創業者、クリステン・ハディードの著書『離職率75%、低賃金の仕事なのに才能ある若者が殺到する奇跡の会社』(クリステン・ハディード著/本荘修二監訳/矢羽野薫訳)の記事からその驚くべきストーリーやノウハウを紹介し、同書にインスパイアされた各回で活躍されている方のインタビューを掲載していきます。

奇跡の会社の採用で面接官が自ら問いかける質問

コア・バリューに忠実な採用をしよう

 ザッポスを見習って、学生の力を借りながら、私たちの企業文化を言葉で定義することにした。私宛てにメールで意見を募集すると、ほんの数日で、スチューデント・メイドの価値観について予想以上の提案が集まった。

 管理部門のエリンとアビーと私は、全員の回答をもとに10項目まで絞り込んだ。超クールな私たちにふさわしい、超クールな10個のキャッチフレーズが固まるまでには、かなり時間がかかった。そして、お披露目の日が来た。

 私は壊れかけたスピーカーを2台パソコンにつなぎ、大音量で「アイ・オブ・ザ・タイガー」(映画『ロッキー3』の主題曲)を流しながら、私たちの企業文化の門番となる
10個のコア・バリューを発表した。

 スチューデント・メイドで働く私たちは、これらの価値観をもとに雇用され、解雇される。これらの価値観に従って働き、いつの日か体にタトゥーとして刻み込むだろう。

1 道徳心を忘れない 有言実行、常に真実を語ること。
2 パンチをかわす 計画どおりにいかないときは、柔軟に対応する。
3 火の輪をくぐる 決められたことをやるだけでなく、それ以上の行動を起こす。クライアントのためだけでなく、常にチームメイトのために。
4 責任を全うする 自分の行動が周囲に与える影響を理解する。個人の欲求よりチームの利益を優先させる。
5 礼を重んじる 相手に敬意を払い、分別を持って言葉を選び、元気のあるポジティブな意識を持ち続ける。
6 当事者になる 自分の仕事と判断に責任を持つ。スチューデント・メイドを自分が経営しているつもりで考える。
7 創造性のドラゴンを解き放つ 既存の考え方にとらわれずに問題解決に取り組み、新しいアイデアを育てる。
8 ペイ・イット・フォワード 情けは人のためならず。コミュニティに恩返しをするのは、義務ではなく、コミュニティのことを心から大切に思うからだ。世界をより良くしよう。
9 今声を上げるか、一生黙っているか チーム内で常にオープンなコミュニケーションを取る。あらゆる不安や疑問、意見、批判、称賛を、常に言葉で伝える。
10 志を高く スチューデント・メイドで働くのは、スチューデント・メイドを愛し、信じているからだ。会社の成長と繁栄のために、最善の努力を尽くそう。