エールを送りまくった夏

 その夏、私はスチューデント・メイドのチアリーディング部のキャプテンに就任した。やる気を失いかけた学生を応援すると、ビルのように、再び仕事に夢中になった。洗剤や垢やカビのことも忘れるくらい、楽しくなったのかもしれない。

 もちろん、私の渾身のダンスと声援だけで、誰もが清掃の仕事に夢中になるわけではない。私もそこまで浅はかではない。このような仕事には単純に向いていない人もいる。
スチューデント・メイドに入って、初めて ― 人生で初めて ― 掃除をしたという学生もいた。

 白カビだらけのシャワーヘッドを見て、あるいは目の前をゴキブリが横切っただけで、小売店で働くほうがましだと思う人もいる。

 さらに、学生だけを雇うという方針のため、常に人の入れ替わりがある。卒業したり、インターンの仕事を見つけたり、あるいは夏休みに実家へ戻る人もいた。しかし、ソフトボール大のほこりの塊に動じず、しばらく街を離れる予定がない人にとって、私が軽快にステップを踏みながら応援することは、仕事を続けようと思う大きな動機になるはずだ。私はそう信じていた。

 みんな仕事が大好きになって、気がついたらトイレブラシを手にバスルームで踊りだす。それが私の新しい目標になった。励まさなければ辞めてしまいそうな人がいなくても、あらゆる機会を見つけて私はエールを送りまくった。

 シフト変更を確認するような普通の会話の最後に、「いい仕事を続けてね!」「頼りにしてるから!」と付け加え、給料計算のために労働時間を提出した学生への返信メールには、「やっぱりあなたはスゴイ!!!!!」と添えた。予算があれば業者に頼んで、学生の自宅の上空に、飛行機の雲で「アイ・ラブ・ユー」と描いてもらったかもしれない。彼らを喜ばせることなら何でもするつもりだった。