問題は、財務基盤が急激に傾いていることだ。巨額赤字の計上により、18年3月末に1575億円あった自己資本は、18年12月末にはあっという間に289億円まで目減りした。

 自己資本比率は危険水域の7.7%まで低下している。エンジニアリング会社のプロジェクトは天候不順など想定外の事態に見舞われることが多く、多額の損失を計上する危険が付きまとうのに、だ。

 手元資金(現預金+短期保有の有価証券)も580億円と、エンジニアリング会社の適正水準とされる「売上高の3ヵ月分」を大きく割り込む(図4)。会社の短期的な支払い能力を表す流動比率(流動資産÷流動負債×100)は何とか100%を上回るものの、安全性には黄信号がともる。

 千代田化工は手元資金について、2月に約3000億円で受注した米国のゴールデンパスLNGプロジェクトの前受け金等により、運転に支障のない水準を確保できると強調する。「前受け金は受注額の10%もないのではないか」と同業他社はささやくが、だとしても今の同社にとっては大きい。

 一方で今回は、キャメロンで痛い目を見た建設については責任を負わないよう、JVのパートナーと取り決めを交わしたというから、大きな損失を出す可能性は低い。

 ただ、それでもキャメロンの完工が見えない中では、資金繰り不安は拭えない。事実、難航が明らかになった18年7~9月期から同年10~12月期にかけ、キャメロンのコストはさらに増加した。顧客とコストの分担について交渉中とはいえ、要求がどこまで受け入れられるかは不透明だ。

 千代田化工も財務体質強化の必要性については重々承知しており、3月末までに資金援助を得るべく画策中だ。LNGプラントの建設は千代田化工を含む世界5社が独占しているだけに、中国勢の関心は高いとされる。だが米中がテクノロジー覇権を争う中、米国で大型案件を抱える千代田化工が中国資本を受け入れるリスクは高い。

 筆頭株主の三菱商事による資本増強が最も現実的な解決策のはずだが、「どれだけ赤字が膨らむか分からない千代田化工にどこまで手を差し伸べるか、悩ましい」(三菱商事幹部)との声も上がる。千代田化工は正念場を迎えている。