誰も知らない間に
生活保護の原則が激変か
2019年3月5日と3月6日に、生活保護の運用に関わる重要な会議が、厚労省で開催された。これらの会議はそれぞれ、毎年全国の自治体から生活保護をはじめとする低所得層支援に関わる課長または係長を集めて行われるもので、次年度の生活保護にとって重大な意味を持っている。なお、名称は「会議」だが、実質的には厚労省による上意下達の場だ。
今回は、これらの会議の内容より、生活保護世帯に給付される生活保護費で10月から予定されている消費税引き上げへの対応を紹介したい。ふさわしい反応は、ユングの「叫び」だろうか。筆者には、そのように思われてならない。
今年10月から、消費税は8%から10%へと引き上げられる予定となっている。現在、108円の商品は、110円で販売されることになる。物価上昇率は1.851%、小数点以下1ケタで四捨五入すると1.9%だ。
しかし、食料品・飲料品・新聞に関しては、消費税は8%のまま据え置かれる。それら以外の消費をしない人にとっては、消費増税による物価上昇は存在せず、上昇率は0%となる。
実際には、消費増税によって生産や流通に関わる費用が増大する。食料品・飲料品の消費税が8%のままでも、生産に使用する水やエネルギー、原材料費が増大すれば、いずれ値上がりする。さらに「便乗値上げ」の可能性も考えると、実際の物価上昇率は2%以上になるのではないかと懸念される。
しかし厚労省は、生活保護費のうち生活費分(生活扶助)に関しては、10月から「消費増税を考慮して1.4%増」とすることを予定している。昨年10月から3段階での引き下げが行われているため、「1.4%増」でも給付額は引き下げとなる人々もいるはずだ。なお、一般消費者に対して用意されている「プレミアム商品券」などは、基本的に生活保護世帯には適用されない。