「『浜で鎮魂の調べ』は宣伝しなかったので、仙台在住の順子さんは知らなかった。この出会いは、洋子さんのチェロが引き合わせてくれたとしか思えない」

 一同、鳥肌が立つほど感動したと、大坪さんはしみじみ語ってくれた。

筆者の叔母の家があった場所で震災から3週間目に撮影した写真
筆者の叔母の家があった場所で震災から3週間目に撮影した写真。「津波をかぶっても花は咲くんだね」と皆で眺めていた…

 震災から8年が経つが、筆者の叔父と叔母は、津波にさらわれたまま依然行方知れず。彼岸の折、遺骨の入っていない墓に手を合わせるものの、そこには本当に誰も眠っていないと思うと、遺体を見つけてあげられない申し訳なさで胸がいっぱいになる。

 姪の私でさえ、そうなのだから、両親を亡くした従妹たちの寂しさ、悲しみは、生涯決して消えることはないはずだ。

 しかし被災地以外の地域では、東日本大震災の記憶は薄れ、風化しようとしている。どうか忘れないでほしい。天国から聞こえたハミングを想像し、心の耳を澄ませながら、今年の3月11日も、犠牲者を想い、手を合わせたい。

◎土田英順(つちだ・えいじゅん)
日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任。
ボストン響およびボストン・ポップスでも演奏。現在は、ソリストとして活躍し、年間何本ものコンサートスケジュールをこなす。東日本大震災チャリティー・コンサートは既に400回超。昨年からは胆振東部地震の支援にも奔走中。
「東日本大震災支援 じいたん子ども基金」を開設。基金は被災地の子供達のために使われる。また、毎月末にその月の募金額と使い道を自らのブログで公表している。
(北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660 口座名 東日本大震災支援 じいたん子ども基金代表 土田英順)
ブログ:「ボストンバックにチェロと酒」http://blog.hokkaido-np.co.jp/enjoy-cello/