「今日子さん、結婚式ってどこで挙げたんですか?」
「私、今一緒に住んでいる彼氏と来年に結婚する予定なんですけど、いろいろと悩んじゃって…」
「結婚式って一生に一度だし、理想の結婚式って女子の夢ですよねー」

 自分たちに仕事を押し付けておきながら、私用電話をしたり、式場を検索していたりしているリカに、温厚な今日子もさすがにムッとした。

「リカさん、結婚式が楽しみなのは分かるけれど、仕事中は仕事しましょうよ」

 今日子がたしなめると、リカはフンと横を向いた。

 翌日以降、男性社員のいない所ではリカは今日子を無視し始めた。別にリカと仲良くしたいとは思わないが、仕事に支障が出始めていたため、小川に相談したところ「所長に相談してみたら」ということになった。

 今日子と小川から事情を聞いた所長は「面倒だな」と思いつつ、リカを呼び出した。

「中野さん、朝の掃除は皆でやるものだし、仕事中の私用電話は控えてくれないかな」

 所長がやんわりと諭すと、リカは、

「掃除は今日子さんと小川さんの仕事です!私は金庫を開けるのが仕事なんです!」
「事務には事務の仕事の振り分けがあるんです!」

 と反論、目に涙をためてこう叫んだ。

「電話は休憩中の話です!所長は私を信じてくれないんですか!」

 ブチ切れたリカは泣き出し、さっさと早退してしまった。

 所長はリカの様子を今日子に伝えた。

「女同士はこれだから困るんだよなあ。大泉さんも、もうちょっと上手く中野さんを立ててくれよ」

 所長に期待してもこれ以上無理だと感じた今日子は、悔しい気持ちを押さえつつ「はい」と応えた。