李克強が振り返った
2018年の経済情勢

 李克強は2018年の経済情勢を次のように振り返っている。

「我々が直面しているのは深刻に変化する外部環境である。経済グローバル化は挫折し、多国間主義は打撃を受けた。国際金融市場は混乱している。特に、中米経済貿易摩擦は一部企業の生産や経営、市場の先行きを不安にさせている」

「世界経済の成長は鈍化し、保護主義や一国中心主義が台頭している。国際コモディティー価格は乱高下し、不安定・不確定要素が明らかに増え、外部から入ってくるリスクは上昇している。国内景気の下振れ圧力は増大し、消費の成長も鈍化し、有効な投資の成長にも陰りが見える。

 実体経済の困難は比較的多く、民営・中小・零細企業の融資難、融資コスト高の問題はいまだ解決を見ていない。実際のビジネス環境と市場プレーヤーの期待値の間にはギャップがある。自主イノベーション能力は強くなく、核心的技術は遅れている。一部地方の財政収支には矛盾が大きく、金融などの分野におけるリスクは少なくない」

 同時に、「教育、医療、養老、住居、食と薬の安全、収入分配といった分野において、人民の間で少なくない不満がある」とも指摘している。直面する問題や政策の失敗などをカムフラージュしたり認めなかったりすることが多く、かつ仮に認めたとしても曖昧な表現で焦点をずらす傾向の強い中国共産党の公式見解にしては、比較的率直かつ具体的な指摘であると筆者には感じられた。

 そして、2019年度の経済情勢に関して李克強は「昨年よりも厳しく、予測可能あるいは予測が難しいリスクや挑戦はより多く、大きくなるだろう。我々はハードな戦いに向けた十分な準備をしなければならない」と主張している。この危機意識が「6~6.5%」という下方に設定された目標につながったのだろう。

中国共産党に
失敗は許されない

 民間企業の従業員、大学生、その両親ら複数の“一般庶民”に「政府工作報告」への感想を聞いてみた。

 すると、「中国国内の経済状況がそんなに厳しい状況に置かれているとは思わなかった」(香港在住の中国人学生、男性、23歳)、「景気の悪化や今後の不透明さが自分たちの生活にどう影響してくるかを真剣に考え、準備をする必要があると思った」(上海在住の高校教師、女性、53歳)といった意見が目立った。