現場を支える高齢者の労働力、高齢化が進む日本社会の現実Photo:PIXTA

年金が足りないからと働く
高齢のタクシー運転手

 京都には、顧問を務める企業が数社あるため、時々、京都を訪問する。そのうちの1社を訪れる際には、いつもJR京都駅の八条口を出てタクシーに乗る。

 先日もそうだった。打ち合わせの時間が迫っていたのに、八条口の近くには客待ちのタクシーがなかった。なかったというと語弊がある。実は1台はあったのだ。ドライバーは見るからにかなりの高齢で、若干、体も不自由に見えた。

 少し不安を覚えたことから、乗車するのをためらった。しかし、タクシーはなかなかこない。私の心の中を察したのか、ドライバーが笑顔で「大丈夫ですよ、安心して乗ってください」と声を掛けてくれたので、最終的にこのタクシーに乗る決意をした。

 心配をよそに、結果的には目的地に無事たどり着いた。支払いする際にドライバーと雑談、「年金が足りないから働いている。もうしばらく頑張りたい。会社も人手不足で困っているし」という話を聞かされ、労働力不足の実態を実感した。

 考えてみれば、これはタクシー業界に限った話ではない。さまざまな分野で起きている現象だ。

 例えば、東京・錦糸町の近くにあるわが家のマンションもそうだ。錦糸町では珍しい大型のタワーマンションで、600以上の世帯が入っている。8年前、管理会社のサービスに不満を覚えた住民たちは、新たに長谷工コミュニティに変更した。私も支持派の1人だった。